2017年6月13日に行われた第5回の裁判期日で池田氏は、とても重要な主張をしてきた。

池田氏によれば、「本件マウス実験は、接種後の脳組織における自己抗体の沈着を観察したもの」ではない。「自己抗体が沈着」という表現は妥当でなく、「反応」に留めるべきであったと、自らの発言が「事実に基づかない」ことを主張したのだ。(平成29年5月26日付け原告準備書面(5))。

村中氏は、ウェッジの記事は真実であるという主張をしてきた。
TBSテレビNEWS23の放送で池田氏がマウス実験を評価して発言した「子宮頸がんワクチンを打ったマウスだけ脳の海馬・記憶の中枢に異常な抗体が沈着。海馬(記憶の中枢)の機能を障害していそうだ。明らかに脳に障害が起こっている。ワクチンを打ったあとこういう脳障害を訴えている患者の共通した客観的所見が提示できている」との発言には、裏付けとなる科学的事実が存在せず、発表内容は「捏造」であるというのが村中氏の主張だ(平成29年4月21日付け求釈明書(3) 2項)。

村中氏はまた、今回期日の前に、池田氏が訴訟で問題としている記事以外の3つの記事
 ①村中氏記事:「子宮頸がんワクチンと遺伝子 池田班のミスリード」(Wedge Infinity)
 ②村中氏記事:「子宮頸がんワクチン「脳障害」に根拠なし 誤報の震源は医学部長」(Wedge Infinity)
 ③村中氏記事:「子宮頸がんワクチン薬害研究班に捏造行為が発覚」(Wedge Infinity)
については名誉毀損による損害賠償を主張しないのか明らかにするよう、反訴も提起していた。(平成29年4月27日付け反訴状
 
これに対し池田氏代理人は、3つの記事については「池田氏は、村中氏に対し、今後、名誉毀損に基づく損害賠償請求権の存在を主張しない」と陳述した。
つまり、村中氏が記事で誤りを指摘した、子宮頸がんワクチンによる脳障害を訴えている患者によく見られるHLA型(遺伝子型)があるといった主張についても、池田氏自身が科学的事実に反することを認め、名誉毀損を主張することは難しいと判断したものと受け取れる。

次回8月25日の期日は、今までのような公開法廷ではなく、非公開の進行協議で行われる。
実質的な話し合いを持ち、裁判の進行を促すため、進行協議期日を開催することはしばしばある。