8月17日、池田修一氏の代理人の弁護士たちは司法記者クラブで記者会見を開いた。そこに池田氏自身の姿はなかった。事前に「提訴する予定」と予告をしておいて、さらに「提訴した」と発表する。記者との接点を増やし、自分たちの主張を記事にしてもらう機会を増やすというのは、薬害団体におなじみのスタイルだ。

  弁護士たちは、自分たちは医学の素人なので科学の問題は一切問わずに名誉毀損裁判を行うと主張した。しかし、会見場所こそ東京高裁内の司法記者クラブだったが、集まった記者の多くは厚労担当、医療担当の記者たちである。チャンピオンデータを発表したといった記事の指摘について池田氏はどう言っているのか、弁護士の皆さんは確認していないのか、といった質問が飛んだ。弁護士は、「確認していない、関心もない」と答え、「子宮頸がんワクチンに関する話は専門が違い理解できない。実験内容の正確性等を問題にしているのではない」とまで言った。科学的な問題があるからこそ捏造と書かれているのに、科学の問題を一切問わないという訴訟戦略に対し、記者からは繰り返し質問が投げかけられたが、弁護士たちは、そこは争点ではなく、池田氏は分担研究者である塩沢教授のスライドを引用して発表しただけに過ぎないので名誉毀損だと繰り返した。

  しかし、この記者会見の雰囲気は、翌日の記事からはほとんど伝わってこなかった。多くのメディアは池田氏が名誉毀損で提訴とだけ報じるにとどまった。ただ、それは無理もないことではある。新聞もテレビも紙幅や尺に余裕がなく、ほとんどの民事裁判は記事にならない。

  そんな中、紙幅に余裕のあるウェブメディアで、裁判情報に詳しい「弁護士ドットコム」が、村中氏のフェイスブックコメント「周到な取材と科学的検証に基づいて執筆した、子宮頸がんワクチンのマウス実験に関する科学不正を指摘した記事に対し、医学部長で副学長という立場にもあり、厚労省の指名を受け、税金を使って研究を行う大先輩の医師が、科学の問題を科学の場で反証することをせず、法律の問題にすり替えてきたことを極めて遺憾に思います」を引用したのが目立った。https://www.bengo4.com/saiban/n_5007/

  混迷する子宮頸がんワクチン問題に憂慮を示してきた医師たちからは「結局、池田教授は薬害団体とつるんでいたのか、がっかりした」といった声や「池田先生は薬害医師としてやっていくと腹をくくったんですね」といった声が多く聞かれた。