8月3日、信州大学は、池田修一氏率いる厚労省研究班が実施したマウス実験について、不正の有無を調べる本調査委員会を設置すると発表した。その数時間後、厚労省記者クラブに池田氏の代理人、清水勉弁護士の名前で提訴予告のFAXが届いた。

  池田氏は当時、国立大学である信州大学の副学長兼医学部長という重職にあった大学教授で、神経内科学会の重鎮だ(その後、12月までの間に副学長、医学部長、第三内科教授をいずれも退任している)。村中氏は、マウス実験をデザインし、実施した研究者を探して取材し、池田修一氏自身が発表した、子宮頸がんワクチンを打ったマウスだけに異常が見られたとの内容は捏造であるということを指摘した。

  やましいところが無いのであれば、学会だってテレビだって池田氏が反論できる場所はある。そもそも、村中氏は記事発表前にきちんと池田氏にも取材を申し込んでおり、それに答えなかったのは池田氏である。ところが、科学的反論を一切行わずに、HIVエイズやC型肝炎訴訟などの薬害訴訟を戦ったことで有名な清水弁護士を代理人として訴えるという。

  地位のある著名な医師が、学会や研究会などの科学の場で反論をせず、科学不正を指摘した名もない医師と記事を掲載したメディアを訴えるという前代未聞の提訴予告に、科学や言論に関心ある人たちを中心として驚きの声が上がった。